
スカウト型求人の終焉。生き残りの2つの道
「スカウト型プラットフォームはもうすぐ限界」人材ビジネスの未来形とは?
人材ビジネスの世界が大きく変わろうとしている。これまで主流だったスカウト型のプラットフォームモデルは限界を迎え、AI技術の進化によってビジネスモデルの変革が急速に進んでいる。転職市場の最前線で活躍する専門家に、2040年に向けた人材ビジネスの未来について聞いた。

Q. スカウト型プラットフォームの現状と限界点は?
スカウト型プラットフォームのモデルはすでに限界点を超えている。このモデルの問題点は、超アナログで遅く、カバー率が狭いことだ。特にリクルートエージェントのような決定力を持つサービスが台頭してきたことで、併用されている他のサービスにとっては厳しい状況が生まれつつある。
採用候補者が早く良い案件に出会えるようになると、それだけで採用が決まってしまう。つまり、従来型のやり方では難しくなってきており、様々な形態に進化していかざるを得ない状況になっている。
Q. 人材紹介業界はこの10年でどう変化してきた?
2010年以降、業界ごとにそれぞれのデータベースが進化してきた。これによって日本の人材紹介業界が成長してきたことは否定できない事実だ。しかし、この5年ほどでさらに大きく変わろうとしている。

特に、求人側と求職者側の両方に「釣り堀」的なプラットフォームがあったことで、求人開拓も不要、求職者もすでにいるという状況が生まれた。これにより、容易に人材ビジネスができる環境が10年ほど続き、新規参入が多かった。
Q. これからのスカウトプラットフォームはどう変わっていく?
スカウトを送るという行為自体が5年後、10年後にはなくなるだろう。スカウトを送らなくてもAIによるレコメンドで解決するようになる。
プラットフォームの価値は、単にデータがあるというだけでなく、そこに登録している求職者にどのような情報を提供するかというメディアとしての役割が重要になってくる。つまり、釣り堀だけだった従来のモデルから、メディア化したり、エージェント化したりする必要が出てきている。
Q. エージェントとの一体化を進める理由は?
スカウトプラットフォームがエージェントと一体化する最大の理由は、案件を自分たちで持つためだ。これにより、求職者が登録した直後に即座にレコメンドできるようになる。
求職者は申し込んだ時が最も熱量が高いので、その瞬間にすぐに良い案件を提案できることが重要だ。スカウト型だと「しばらく待っていてください、企業が送りたい時に送ります」という状態になり、求職者の熱量が下がってしまう。現在の状況では求職者の意欲は非常に早く劣化していくため、速やかな対応が求められる。
Q. RPO(採用代行)ビジネスの将来性は?
RPOには2種類ある。1つは採用業務の代行を外部に委託する「リクルーティングプロセスのアウトソーシング」で、もう1つはデータサイエンスを駆使して採用方法を最適化する「リクルーティングプロセスのオプティマイゼーション」だ。
後者は300社にも満たない大企業向けのサービスで、これができる会社はごく一部だ。一方、採用代行としての手間を提供するビジネスは、利益率が低いという問題がある。労働集約型のため、生き残りはできるものの、手間賃として食いつないでいくだけのモデルになりかねない。

また、AIのレコメンド機能が発達すると、本当に作業だけが残るようになる恐れもある。さらに、採用市場で選ばれない会社が大量に出てくるため、RPOで入っても選ばれない企業との取引は続かない。
Q. タレントアクイジション(人材獲得)の内製化は進むのか?
2000年頃からインターネット化が進み、採用業務の軽量化が進んだ。ページビューやコンバージョン率など作業的な指標が表に出るようになり、それまで内部の人事部が行っていた業務が外部化されるようになった。
しかし現在、最先端の企業では逆の動きが起きている。タレントアクイジション機能、つまり人材獲得を自前で組織的にチームを作っていくことが最重要課題になっている。これは時代の揺り戻しでもあるが、外部委託では対応しきれなくなってきたため、再び内製化に投資する流れが生まれている。
本気で採用したい企業ほど、タレントアクイジションの内製化に進んでいる。RPOとの組み方やパートナーシップが強ければ、内製に近い形もあり得るが、基本的には自社のタレントアクイジション機能を強化する方向に進んでいる。
Q. 中途採用における採用競合の意識はどうなっている?
新卒採用では競合他社や人気企業を意識するのに対し、中途採用ではあまり競合を意識していない企業が多い。これは採用のタイミングがバラバラなため、自社の魅力をどう訴求するかという点に注力しがちだからだ。
しかし今後は、採用競合との関係の中でいかに自社に振り向いてもらうかという戦い方が重要になる。単に自社の魅力を伝えるだけでなく、採用競合がどんなポジションを提案しているかを踏まえて、自社はどんなポジションを提示するかを考える必要がある。
Q. 人材ビジネスは2040年まで成長ビジネスなのか?
人材ビジネス自体は2040年まで成長領域だと考えられる。ただし、ビジネスモデルの内容が変質していったり、求められる能力が変わっていったり、適合する人も変わっていったりすることは非常に速いペースで進んでいく。

テクノロジーの進化により、寡占度は高まるものの、完全な総取りが簡単にできるわけではない。2040年までを見据えて、生き残れる分野を見抜き、集中投資していくことが重要だ。
Q. スキルシェア市場の未来はどうなる?
業務委託やフリーランスを中心としたスキルシェア市場も変化している。労働人口の減少により、1社で1人を使い切るのではなく、1人の人間が多能化し、様々な場面で働くことで労働人口減少を補うというのがスキルシェア市場の役割だ。
個々のサービスの規模としては大きくないかもしれないが、塊として見たときには、副業が当たり前になってきた時代には、無視できない領域になってくる。ただし、専門特化した方が集客効率が良いため、総合的なプラットフォームよりも専門分化したサービスが多くなる傾向がある。
また、生成AIの発展により、マニュアル的なスキルは縮小する可能性がある一方、販売スキルや技能的なスキル(例えば、電気工事士の資格を持ちエアコン取り付けができるなど)は、AIに置き換えられない領域として残っていくだろう。
